コラム：ひざの痛みをとる方法
「安静の副作用の例」

なにかの病気で医師のところに行くと、「家で安静にしていなさい」といわれることが多いと思います。安静というのはどの程度、治癒に効果があるのでしょうか。

一方、安静には好ましくない面もあります。それらは副作用といってもよいかもしれません。

具体的な例をあげてみましょう。

若い２５歳ぐらいの人がカゼをこじらせて、たまたま肺炎になって１ヵ月も入院し、やっと全快したとしましょう。そして退院した翌日からすぐ、病気前と同じように７時に起きて満員電車に乗り出勤というもとの生活にもどったとします。

おそらく再出勤１日めはクタクタに疲れてしまうでしょう。ひょっとするとせっかく退院したのに、また１週間ぐらい休んで自宅で寝ていることになるかもしれません。

これは１ヵ月の療養期間で肺炎は治ったのですが、ベッドで寝て安静にしていることがほとんどという生活をしているあいだに、日常生活（電車に乗って１時間ぐらい立っている、歩く、会社で動きまわる、階段を上る、場合によっては退社後飲み歩くなど）をこなす心臓の機能、活動するための全身の筋肉、歩いて体重を支える関節・骨などの運動器の力などが日常生活レベル以下に低下してしまっているからです。

また、治ったはずの肺そのものの機能も衰えています。安静期間中はベッドで寝ていることがほとんどで、せいぜいトイレか洗面に立ったり、食事で起きるぐらいの活動しかしません。

その間に、以前よりもおもに呼吸筋（肋間筋と横隔膜）がずっと衰え、萎縮してしまったはずです。

ですから肺活量など肺の機能も衰えてしまうのです。これが安静の副作用です。

とくに体重の重みを支える役割をもつ関節の場合、筋肉や骨を衰えさせてしまうことは、病気そのものに加えて、病気そのものと同じぐらいのダメージを新たに与えてしまうことになります。

参考になさってください。

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