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靭帯調整法とは?

コラム:ひざ痛を治そう!
「靭帯調整法とは?」


ヒアルロン酸やコンドロイチンなどの軟骨成分を摂取することに加えて、靭帯調整法は、比較的新しく開発された運動法で、荷重点調整法や筋力間バランス法とはやや異なった特徴を持っています。

第一に、運動の目的です。荷重点調整法などが主に関節周囲の筋肉を調整するためであるのに対し、靭帯調整法はその名のとおり、靭帯(関節の骨と骨とを結ぶ線維状の組織)をほぐし、関節の可動域を高めることにあります。

第二に、運動の方法は「関節を支点にして8の字を描く」というもので、荷重点調整法や筋力間バランス法のようにバリエーションの広がりはありません。いわばオプションのような存在ですが、効果は非常に高いものがあります。

第三に、ひざ関節はもちろん、股関節や肩関節など、すべての関節に適用できる運動であることです。

筋肉と違って、靭帯は部位によって働きや構造に大きな違いはありません。ですから、どの関節においても8の字の動きによって、靭帯に効果的な刺激を伝えることができます。では、靭帯をほぐして柔軟にすることが、なぜ、ひざ痛の改善につながるのか、説明していきましょう。

靭帯は骨と骨とをつないでいるコラーゲン線維の束です。関節の補強、動きの安定や制御にはなくてはならない役割を担っています。骨の変形などの障害で関節の動きが悪くなると、関節を支えている範囲の筋肉が硬くなってくるのと同様に、程度の差こそあれ靭帯も硬くなって働きが悪くなってきます。

以前から、筋力を鍛えてその働きを高めると、確かにひざ関節の痛みは軽くなっていきます。ただし、患者さんによって改善の早さが異なるのです。

これはどうしてだろうと、あれこれ調べているうちに思い当たったのが靭帯でした。

筋肉が緊張していれば、それに結びつく靭帯も当然緊張しているはず。筋肉をほぐして柔らかくしても治りが遅いのは、こわばった靭帯のほうをそのままにしているからではないか、ということです。

関節の可動域が狭いと、同じ部位(荷重点)ばかりに体重をかけることになります。可動域の拡大は、動作における荷重点の効率的な分散を図り、関節軟骨の摩耗を少なくすることや、靭帯、関節包に対する負担の軽減を可能にします。

たとえば、ひざ関節の人工関節置換手術をした人の回復が長引いたり、脱臼しやすくなったりするのも、手術で一部の靭帯を切っていることが大きく影響していると考えられます。

それだけ靭帯というのは、関節の働きに深くかかわっているのに対し、これまでの運動療法では、その部分にはまったくといっていいほど関心が向けられていません。その理由の一つとしては、靭帯が体の奥深くにあり、しかも小さいために、刺激が伝わりにくいという点があると思われます。

「8」という形の動きは直線や円運動と違って、あらゆる方向にまんべんなく力が向かいます。まさに「∞(無限)」そのものなのです。そこから開発したのが8の字ゆらし、すなわち靭帯調整法でした。運動が終わった直後に、患者さんのひざの屈伸、つまり、ひざ関節の可動域が大きく拡大したのです。

もちろん、これは一時的なもので、まもなく元に戻りますが、刺激が確実に靭帯に伝わっていることは間違いありません。そこでさまざまな改良を加えた現在の、靭帯調整法を継続的に行っていただくことにより、一時的な効果だったものが恒常的なものへと確立されてきました。

可動域の拡大は、動作における荷重点の効率的な分散を図り、関節軟骨の摩耗を少なくすることや、靭帯、関節包に対する負担の軽減を可能にします。

たとえば、ひざ関節の人工関節置換手術をした人の回復が、関節の可動域において、80%強くらいだった改善率が程度の差こそあれ、97〜98%にまで飛躍的に伸びました。

また、これは最近わかってきたことですが、靭帯調整法は靭帯だけでなく、関節包(関節を包み込んでいる線維性の膜)の緊張をほぐす効果もあるようです。

関節の痛みは関節腔(関節の骨と骨の間の空間)の内圧が上昇することも一因と考えられます。その関節腔を包んでいる関節包の柔軟性を高めれば内圧も必然的に下がり、それだけ痛みも軽くなってくるわけです。

靭帯調整法は、基本的に変形性膝関節症の痛みの改善に効果がありますが、手術をする場合においても術前・術後のリハビリにかなり有効といえます。

また、ほかの関節痛の緩和や高齢者の転倒防止、スポーツのケガ防止やパフォーマンスの向上にもじゅうぶん効果が期待できます。

参考にしてみてください。

なお、ひざ痛が気になる方に愛用されているのがヒアルロン酸です。ヒアルロン酸とは、ムコ多糖類の代表的な成分ですが、その大きな特徴は1gで6リットルの水を保持できるという、その保水性です。最近、美容や関節サプリメントの主成分としてヒアルロン酸が注目されていますが、これは主にこの能力によるものです。

ヒアルロン酸はその保水能力により、関節の中で、軟骨の持つクッションの役割を補完・代替してくれることから、関節系のサプリメントの主要成分として重宝されている、というわけです。関節痛や変形性ひざ関節症にお悩みの方はヒアルロン酸サプリメントも活用してみてはいかがでしょうか。

ちなみにヒアルロン酸の飲み方として、同じく軟骨を形成する成分であるグルコサミンや、その形成を助けるコンドロイチンと同時に摂ることで相乗効果が期待できると言われています。最近ではこれら3つの成分が同時に摂れるサプリメントも販売されていますので、興味がある方は試してみてください。

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